地下駐車場問題

高松高校の運動場の地下は公共駐車場になっていますが、この地下駐車場建設にあたっては様々な議論がありました。
しかし、それ以前の卒業生や地下駐車場完成以降の卒業生にとってはどのような議論があったのかよく分からないかも知れません。そこで、「高松高等学校100年史」(玉翠会発行)から、地下駐車場問題の事実経過の箇所を引用しました。

学校運動場地下に県が建設した駐車場問題について

(「高松高等学校100年史」(玉翠会発行)より)

平成3年7月末に香川県総務部・県教育委員会から学校側に「旧校舎の解体に引き続き、運動場予定地の地下に公共駐車場の建設を計画している。」ことが伝達された。
県側の地下駐車場建設の理由は、
1) 県庁周辺の公共駐車場の必要性が高い、
2) 県庁周辺は総合会館、日赤等の公共施設が多く、車両のスムーズな通行を確保する必要がある、
3) 市立中央駐車場、日赤駐車場は限界に近い、
4) 高速道路の開通に伴い一層自動車の増加が予想される、
5) 県庁周辺に駐車場を建設する適当な土地が高松高校以外にみあたらない、
6) 県庁、総合会館、日赤等の改築が7~8年続き、仮駐車場が必要となる、
7) 高松高校の旧校舎解体工事に併せてその地下に駐車場を建設すれば、他の所に建設する場合に比べて支障が少ない、
の7点であった。

県教委は平成3年8月の臨時全員協議会で以下のように県当局の計画を容認する見解を発表した。
「高松高校は市の中心部に位置しており、現在の道路事情や車社会への対応を考えた場合、グラウンドの地下でもあり公共の利益を考えると、教育に支障がないよう措置が講じられれば地下駐車場建設はやむを得ない。」

PTAは臨時役員会で県当局・県教委から上記の説明を聞いた上で、
1) この計画には子供たちの教育の場に特段の配慮がされていず、教育環境の劣悪化が予見される、
2) 恒久施設となる地下駐車場の設置の必要性に十分時間をかけた慎重な検討がされていない、
3) 周辺地域を含めた土地利用計画や交通対策との関係が明確にされていない、
等の理由からこの計画に反対する決議をし、知事・県議会に陳情を行った。

玉翠会も臨時理事会を開催して反対の要望書を知事に手渡した。

平成3年9月には高松高校生徒のアンケートが実施され全校生徒の74%が反対の意思を表明した。
また、生徒委員会として「地下駐車場の建設に反対であるが、建設された場合は生徒としての権利が守られるよう要請したい。」との決議を行った。

PTAは地下駐車場問題対策委員会を設置し、学校当局と連携を取りながら建設計画を中止させるべく積極的に活動を行った。四国新聞に反対の意見広告をし、9月に臨時総会で地下駐車場建設に反対の決議を行った。

対策委員会は県議会にも働きかけたが、平成3年10月14日に県議会で地下駐車場建設が大多数の賛成で可決された。

建設決定後もPTA対策委員会を中心に4回にわたって県側の真の建設目的や教育への配慮等について県当局との話し合いが行われたが、県側からは明確な回答が得られぬまま平成3年12月末に地下駐車場は建設が始められた。

平成5年9月にようやく運動場は整備され学校・生徒に返されたが、校舎改築から通算して5年間生徒は運動場が使えず、この間に2学年約1000名の生徒が工事現場に囲まれた中で、一度も運動場に足を踏み入れぬまま高校生活を終え卒業していった。