岡山玉翠会会長
太田武夫(昭和32年卒)

第28回東京玉翠会が今年も盛大に開催されることを、岡山玉翠会を代表して、心よりお慶び申し上げます。
昨年出席させていただいて、その盛大さとプログラムの楽しさに圧倒させられたのを思い出しながら、今年はどんなふうなのだろうかと思いを馳せながら、ご盛会を祈って拙文をしたためております。

さて今年のテーマは『東京 上京物語~あなたにとっての東京とは』とお聞きしております。
私は小学校に入った年に終戦を迎えた世代ですが、幼少時(戦争中)は「東京」は非常に遠くにある駅で、その手前が「満州」、も一つ手前が「朝鮮」だと思い込んでいた記憶があります。
大人の日常会話の中からそう思い込んでいたのだと思います。
その東京は高校を卒業するころには、急行「瀬戸」で、約20時間の距離という感覚になっておりました。昭和25年来東京―宇野間を走ったこの急行(のちに特急)と宇高連絡船が高松と東京をつなぐ強烈な思い出である方が多いのではないでしょうか。
これは新幹線や飛行機で短時間に往来できる今の時代にはなかなか得難いことではないかと思います。

私は、高校卒業後の殆どを岡山住まいでしたので、時々する上京には、それなりの貴重な思い出があります。
私ごとで恐縮ですが、「東京の屋根の下に住む 若い二人はしあわせもの‥・」と灰田勝彦の歌(昭和24年流行)をよく口ずさんでいた兄は東京で生涯を終えましたが、私が上京すると、その時々に話題となるような場所をあちこち案内してくれました。また折々に上京組の同級生に会えたこと、国会周辺でデモをしたこと、家族でディズニーランドヘいったこと等々です。

東京で日常生活を送っておられる皆さまには、人生の喜怒哀楽を込めた思い出が上京以来しっかりと蓄積され今日を迎えられていることと思います。
この会では、その「時々に思い出す日々」を新たにする縁として、明日からの活力にしていただきたいと心より願っております。