東京玉翠会の皆様、記念すべき第30回総会の開催おめでとうございます。

 仕事でシンガポールに来て早や3年目、東南アジアの中心で愛ならぬ高高を叫んでたら、数名の先輩も続々当地ご駐在となり、いつの間にか定期的に集う親睦会が出来てしまいました。
 同好会のようにまだ正式な会では無いのですが、崇高な理念を掲げるには高高と言う建前は必須、メンバーの先輩諸氏は皆会社の将来を背負う屈強揃い、斯様のご時世、会社、日本、延いては我ら母校のグローバル化に一献と、東京玉翠会の温かい庇護の下でついついシンガポール支部を立ち上げてしまいました。
 ついては原稿依頼も頂きましたので暫し当地事情を認めさせて頂きます。

1) シンガポールと四国は島国同士

 日本の景気低迷に対し目下絶好調のシンガポールですが、四国もシンガポールも古代に遡れば人が住むか住まぬかの辺境の島であった事に異論無いと思います。またシンガポールがアセアンのハブなら、高松だって立派な四国の玄関口、怯む無かれ、我々香川県人は堂々として良いのです。
 でもシンガポール島、香港島、マンハッタン島が今日まで永続的に発展している理由は何だろう。
 愚考するに、①貿易港として開発され、②金融センターとして発展し、③移民を受け入れてきたと言う、外部のヒト・モノ・カネをエネルギーとして受け入れる海洋民族的な建国思想が重要なのかもしれない。

 うーん、香川にもお遍路さんで培われた立派な「おもてなし文化」があるのに、それでは本質には事足り得ない?
 はたまた諸差あってもつまるところ香川県人は農耕民族系なのか?ちょっと悔しいなあ。で も謳岐うどんや瀬戸内国際芸術際は、確かに県外の人を魅き付けたぞ。それに中国大陸から移民としてこの地に亘り、故郷を偲びつつ定住してきた初代シンガポール人と、社会人になって香川を離れ、東京に暮らす我々の心境は実は似通ってるのでは?

 因って結論。
 シンガポールと四国は甲乙つけがたき同類、同格のライバル島同士なのであります!(でたっ 島国根性!)

2) シンガポールの香川県人

 当地の在留・永住邦人は約27、000人。日本人口の主要1%を占める香川県人は計算上270人となるはずですが、実際にはそんなに多くなさそう。やはり島国育ちの出不精と言いますか、親を残して東京や大阪出るだけでも我々香川人には大事ですからね。
 結果、支部メンバーもまだ少数で「次は香川県人会作らなあかんな」なんて四方山話が出てくる。

 最近出来た讃岐うどん店でうどん食べてて隣に座った日本人に声かけたら「僕は丸高出身や」なんて偶然もあってさてこれは大切にしたいもの。
 果ては香川県庁の方が頻繁に産品プロモーションの為に来星され、県庁の方や出品された香川県の食品会社の方とも自然と繋がりが出来てくる。
 全ては海外であること、香川県人の希少性の成せる技、他方、玉翠会だけじゃなく香川を四国を盛り上げないといかんと言う心が芽生えてくる。
 結論。
 高高OB・OGは海外では一人一人が香川のアンバサダーなのです。

3) シンガポールと讃岐うどん

 香川県出身の人が少ないから、最近の讃岐うどん海外ブームも、出店される方は商才ある県外の方ばかりで、「県外の人が讃岐の看板掲げて、味ホンマ大丈夫なんか」と、一丁前に、でも讃岐を思うとハラハラ気分で店に足繁く通ってしまう結果に。(じっとしとられんのです。)

 でも、もっと根本的に困った問題が。饂飩の意味は、中国では実は雲呑?
 地元の華僑に敢えてもらった事実は「饂飩」と言う漢字は、中に肉餡の入った「ワンタン」の昔の中国文学らしく、うどんがイメージ出来ないそう。多分古来「饂飩」はワンタンの正式名称で、中国では白いワンタンがスープに浮いてる情景から「雲呑」に漢字が変化し、方や日本では「饂飩」が輸入された後、いつの間にか対象が切り麦(うどんの昔の呼び名)と置き換えられてうどんになってしまった。

 うどんの北京語は「鳥冬面」。この当て字ではじょんにならん。
 これ発音ベースの当て字です。ウートンミェンと、なんとかぎりぎりうどん発音となるものの、イメージ湧かん、鳥の冬って何それ、白鳥?
 讃岐うどんを「賛岐鳥冬麺」と書いて「ザンチィーウートンメェン]と読ませる讃岐うどんのお店に行ったが、いくら啜っても望郷の想いは一向に湧いてこず茫然自失。
 ズッ、ズッズーの二回吸い上げが出来ない。
 うどんにテクニカル論まであるとは。香川の人なら誰もが出来る「ズッ、ズッズー」の食べ方を猫舌シンガポール人は苦手で蓮華に乗せるしかありません。
 ラーメンなら麺が細いので乗るのですが、うどんの蓮華乗せはドジョウ乗せるのと差して変わらぬ至難の業。

 食べ方は兎も角、上2項の名称問題は商標権云々言う前に「世界のソウルフード」として海外普及する前に片づけておかねばならない意外な盲点です。
 先日シンガポールに浜田県知事がお越しになられた際に、懇談会に同席した小兵より「中国は福建麺や刀削麺のように麺は何でも3文字で表記します。それならうどんと言う文字に拘らず讃岐をイメージした讃州麺というのは如何ですか?香川県のアピールにもなります」とお伝えしました。
 うどん県に続く「うどん」の良い国際ネーミングを是非考えて頂きたいものです。

 と、ツラツラ書いてしまいましたが、最後に一言。
 東京玉翠会シンガポール支部は、最後の一人に帰国辞令が出るまでだらだら活動してると思います!
 羽田から7時間、ゴルフもカジノも中華もエステも何でもあります。煙草も吸えます。東京玉翠会の皆様が遊びに仕事にお立ち寄りの際は是非お声かけ下さい。
 支部一同楽しみに待ってます!

東京玉翠会シンガポール支部
連絡先 代表中山易典(S50卒)
        三木重昌(S60卒)