<2つのオークション>

東京玉翠美術愛好会の第2回活動として、平成10年6月19日(土)と20日(日)に2つのオークションに参加しました。

一つは「J.A.Aオークション」。
ここは、札を入れる方式。

もう一つは右の写真の「コレクターズオークション」。
ここは、競りで落とす方法。

以下、それぞれのオークションについて報告します。

<J.A.Aオークション>

J.A.Aオークションでは、作品が2日間展示されます。その間に下見をして入札し、2日目の午後3時に開札が行われます。

われわれは、中村さん(高中50回)と一緒に1日目に行きました。
会場は、銀座・泰明小学校前のギャラリーセンタービル6階。会員でなくとも見学は自由で、入場無料です。
入札は会員に限られますが、年会費1万5450円を払えば、誰でも会員になれます。

会場には、ずらっと作品が展示され、それぞれ最低価格が表示されています。入札価格はそれ以上でないといけません。
ただ、「成り行き」と表示されている作品もあります。その場合には、最低5000円以上であれば、いくらの値段をつけてもかまいません。

会場に来ていた人は、業者らしき人よりも、一般の美術愛好者が多いように見受けられました。

出展作品には、まれに、にせ物が出る場合があり、主催者も厳密にはチェックしていないので、それなりの知識が要求されるとのこと。

海外の作品も出ており、ビュッフェのサイン入りのリトグラフでも5万円程度でした。
安いなあ!

一通り見た後、入札価格を書きます。
私は、成り行きとなっていた油絵が、事務所に飾るのに丁度いいなと思って、入札しました。

入札は2枚札方式であり、1枚の紙に希望価格を2つ書きます(札を2枚入れるわけではありません)。
私は1万8000円と、2万0600円の2つの価格を書いて入れました。
この場合、他の札が1万8000円未満であれば、1万8000円で落ちます。他の札の最高が例えば2万円であれば、2万0600円で落ちることになります。

展示作品別に貯金箱のような小さい木箱が置かれおり、札(といっても紙片)はそこに入れます。
その箱を振ったり中を覗いたりして、どれくらい他の札が入っているか確認している人がいたので、まねをして、自分が買いたい作品の箱を覗くと、他の札が入っていました。
そのため、1万円程度で入札するつもりでしたが、2万円前後に上げることにしたのです。

開札は翌日のため、結果を後から聞いたところ、2万2000円で落札されたそうです。
うーん。もう少し、高くつければよかったかなあ。

落札すれば、落札価格の3%の手数料を加えた額を3日以内に支払えば、作品は自分のものになります。
入札方式は、競りに比べて、落ち着いて価格を決められるので、初心者にはいいかもしれません。

<コレクターズオークション>

次の日は、競りの方式のコレクターズオークションに参加。
オークション会場は中央区銀座6-13-8ゆまにてビル4階。プレビューとして、6月16日から19日まで下見ができました。
作品には落札予想価格が書かれていますが、競りはもう少し下の価格から始まり、落札予想価格に届かず落とされることが多かったです。

会場に行くと、1階の入口で受付があり、住所と名前を書くと、左のような競りの札をくれました。買いたいときはこの札を上げるわけです。

会場は狭く、いすが60くらいありましたが、最終的にはほとんど埋まりました。
作品は全部で300点くらい。
最初に、陶器などの立体もの。次に、絵画などの平面ものの順で進みました。
300点もあるので、次々と進んでいきます(それでも3時間くらいかかりましたが)。
落札価格はほとんどが10万円以下。それを超えると、なかなか声がかからず落札されません。

草間弥生のカップとソーサーが8000円で始りました。
太田さん(H7卒)が9000円で札を上げると、すぐに他から1万円の声がかかります。
すると1万1000円の声が。
草間弥生は人気があるそうです。

結局、1万4000円で落札され、太田さんは落とせませんでした。

5点もののリトグラフ・額装入りが1万2000円から始まります。
久保さん(27年卒)がすかさず札を上げます。後で聞くと、額装代だけで元が取れると思ったとのこと。
しかし、他にも同じ考えの人がいたようで、結局1万8000円で落ち、久保さんは落とせませんでした。

左の作品の競りが始まります。オークショナー(ハンマーを持った人)が「8000円」と言いましたが、札を上げる人はいません。
落札されずに終わるのかと思った瞬間、宮本さん(27年卒)が、「8000円」と言って札を上げました。
そして、誰とも競らずに最初の値段で落としました。
宮本さんは、前回下見のためにオークションに参加しており、今日は2回目。さすが、こつをつかんでいます。

宮本さんは歯科医院を開業をしており、治療室に掛けるのに丁度よいと思ったそうです。新築祝いや事務所開きなどの贈り物としてもよいので、これからもオークションで買いたいとのことです。

池田満寿夫の作品も10点以上出ており、リトグラフではありますが、すべて2万円から2万5000円程度でした。
それでも、ほとんど落札されません。デパートなどでは最低でも10万円で販売していますが、それでも買う人は多いのではないでしょうか。

<反省会>

終わってから、反省会を開きました。

オークションでは安く買えるというのが参加者の一致した意見。だいたい、画廊やデパートで買う値段の2割くらいで買えることが分かりました。
しかも、ほとんどが数万円の作品です。

下見は絶対必要。
カタログの色と実際の色とは違うし、カタログには大きさを書いているとはいえ、想像していたのと実際に見た感じは違うからです。

札を上げるタイミングも大切。
宮本さんが言うには、「最初から声を上げ、欲しいという気持ちをみせると、競りをしている人に見透かされるのでよくない。最初は声を上げず、誰かが札を上げ、ほとんどその値段で決まり、ハンマーを降ろしかけた瞬間に札を上げた方がよい。」とのことでした。

次回は9月にあるので、そのときには十分下見をして、いい物を買おうと誓い合いました。
知識があった方がよいには違いありませんが、まったくの素人でもとても楽しめた一日でした。